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食品中に溶出しうる内分泌撹乱物質の母胎への暴露が産児脳発達に及ぼす影響
プラスチック容器や缶詰,飲料缶の内面コーティング剤として用いられているエポキシ樹脂Bisphenol A diglycidyl ether (BADGE)は,微量ながら食品中へ移行することが知られており,エストロゲン様活性が報告されています.私たちは母胎へのBADGE曝露による産仔脳発達への影響について研究しています.
我々はこれまでに,BADGEを妊娠・授乳期に投与した母体からの新生仔は頭頂皮質第2/3層細胞数が低下し,第5層Ctip2陽性錐体細胞が対照群と比べより第5層に限局することを見出し,高濃度のBADGEへの曝露は,早期の神経分化をもたらす可能性を示しました.
参考論文 1. Miyazaki, I., Kikuoka, R., Isooka, N., Takeshima, M., Sonobe, K., Arai, R., Funakoshi, H., Quin, K., Smart, J., Zensho, K. and Asanuma, M.: Effects of maternal bisphenol A diglycidyl ether exposure during gestation and lactation on behavior and brain development of the offspring. Food and Chemical Toxicol., 138: 111235, 2020.